【経口負荷試験・外来(通院)編】経口免疫療法で卵アレルギーを克服

  • 2021年7月14日
  • 2024年3月27日
  • LIFE

息子の卵と小麦のアレルギーを克服するために、アレルギー専門医のもとで経口免疫療法を受ける決心をしました。

医師と相談した結果、卵と小麦の経口免疫療法を並行しておこなうことに。

アレルギーの軽い卵を優先して治療を進め、小麦は並行して症状の出ない一定量を摂取し続けました。

そして、小学6年生の12月に始めた卵の免疫療法は、中学1年生の8月に全卵ひとつ食べられるようになったことで成功という結果になりました。

小麦については、卵を克服してから徐々に摂取量を増やし、中学2年生の現在も免疫療法を継続中です。

この記事では、卵の経口免疫療法について、実体験をまじえてご紹介しますね。

免疫療法(減感作療法)とは

そもそも、「免疫療法」とは?

「減感作療法」とも呼ばれることがありますよね。

アレルギー体質自体を変えてしまうことは、現時点では難しいことです。

しかし、花粉症やアレルギー性鼻炎、気管支喘息などは、免疫療法によってアレルギー反応を低下させることは可能です。

反応を引き起こす量よりもずっと少ないアレルゲンを、注射や薬などで毎日体内に入れ続ける治療法です。

そうすることで、アレルゲンに少しずつ段階的に慣らしていき、もともとは強いアレルギー反応を起こしていた量のアレルゲンと接触しても、反応を軽くすることを目的とするものです。

経口免疫療法(特異的経口耐性誘導療法)について

免疫療法が食物アレルギーに対しても有効であるかどうか、これまで世界各国で検討されてきましたが、口から少量ずつ食べて慣らす経口免疫療法は、かなりの有効率が期待できると報告されるようになってきました。

しかし日本ではまだまだ一般的な治療法ではなく、確実な方法が決まっているわけではないようです。

呼び方もさまざまで、

特異的・・・治療に使用した食品に限定的な効果が期待できる

経口・・・食品を口から摂取する

耐性誘導・・・食べても症状が出ない状態を実現する

という意味から「特異的経口耐性誘導療法」という名称が提唱されるようになりました。

数日から数週間の短期でおこなう「急速法」と、数か月から1年以上ゆっくり時間をかけておこなう「緩徐法」があります。

いよいよ治療スタート

息子は、卵と小麦の治療をうけることになりました。

経口免疫療法を始めるには、対象となる食品について食物負荷試験をおこなう必要があります。

経口免疫療法は、食べても症状が出ない量を長期的に食べ続ける治療法なので、まず「食べられる量」を知らなくてはなりません。

その負荷試験を、入院してするのか、外来でするのか。

息子の場合、アレルギーの重さとしては小麦の方がひどく、少量であってもアナフィラキシーを起こしてしまうレベルです。

そのため、小麦については入院して負荷試験をおこなう必要があるとのこと。

一方、卵については、自宅にて1cm四方くらいの薄焼き卵であれば食べても症状が出ないことがわかっていたので、入院せずに外来で負荷試験を受けられることになりました。

卵は12月に、小麦は3月に入院して負荷試験をおこなうことに。

小麦の負荷試験については、別の記事でご紹介しますね。

卵の負荷試験について

負荷試験の当日は、試験に用いる食材を持参します。

負荷試験後、同じ条件で調理したものを食べさせ続ける必要があるためです。

卵は、「卵焼き」で免疫療法をおこなうことになり、事前にこのような紙を渡されました。これをもとに、食べる大きさを決めていきます。

息子の場合は、自宅で1/128くらいの大きさを食べて症状が出ないことがわかっていたため、その次の段階、1/64の量で負荷試験をおこなうことになりました。

外来で1/64を食べ、症状が出なければ、この量から治療開始となります。

もし症状が出たら、後日さらに少量で負荷試験をし直す必要があるということです。

負荷試験に用いる卵焼きについて

生卵ひとつを卵白と卵黄が均一になるようによくといで、卵焼き用の四角いフライパンで焼きます。

焼きあがった薄焼き卵を、この紙のように、半分に切ってそれをまた半分に切って・・・、1/64を作ります。

この方法なら、どんな大きさのフライパンで焼いても同じ量を作ることができますよね。

注意することは、

◎卵白と卵黄を均一にすること

◎完全に火を通すこと

◎調理法など、いつも同じ条件にすること(卵焼きのみ)

この3つです。

外来での負荷試験の流れ

負荷試験当日、外来に到着。

まずは診察です。

負荷試験における注意点などの説明の後、負荷試験の部屋に移動しました。

この日は、卵ひとつ分の卵焼きを持参し、初めてということで看護師さんにチェックしてもらいながら卵をカットして1/64を作りました。

いよいよ、1/64の卵焼きを食べてみます。

このあと、1時間半~2時間してまた診察室に呼ばれるまで、待合室でおとなしく過ごして様子をみます。

本人があまり神経質になったり不安になったりしないよう、ゲームなど気を紛らわせられることをするといいようです。

時間が経過しても、アレルギー症状は出ませんでした。

再び診察室に呼ばれ、症状の有無などを確認。

まったく問題なしでした!

ということで、次の予約の日まで、自宅で1/128~1/64の分量を毎日食べさせ続けます。

なぜ1/64ではなく1/128~1/64なのかというと、あくまでもMAX 1/64までは症状が出ないことがわかっているから、次回量を増やすための負荷試験をおこなうまでに、徐々に1/64の量に近づけていきましょう、ということだからです。

余裕のある量で、経口免疫療法をスタートさせていくということです。

危険と隣り合わせの治療なので、慎重に進めなければならないのです。

体調が悪いときはいつもと同じ量であっても症状が出てしまうこともあるため、食べる量を少し減らす必要もあります。

こうして日々調整しながら、自宅でも症状が出ることなく食べ続け、次回の負荷試験に向けて徐々に1/64の量に近づけていきます。

しっかりと1/64を食べ続けられれば、次回の外来での負荷試験では、倍の量の1/32に挑戦する、という流れです。

その次は1/16、次は1/8、・・・と、まるまるひとつの卵が食べられるようになるまで、続けていきます。

卵の味に苦戦・・・味をごまかしながらなんとか乗り越えました

息子は、卵の量を徐々に増やしていくことに問題はなかったのですが、卵の味をとても嫌がったので、量が増えた時に味をごまかすのが大変でした。

まだ少量のうちは、ケチャップを多めにしたり、味の濃いおかずに紛れ込ませたりでごまかせたのですが、1/8くらいからは毎日あの手この手で試しました。

薄焼き卵以外の調理法はNGというのも、辛いところでした。

納豆と一緒に食べたり、ピーマンと一緒に食べたりするのが少しごまかしがきいたようで、しばらく続けられたかと思うとまた飽きてしまって。

最後、ほぼ流し込んでいたような・・・(笑)

8カ月後には無事に卵ひとつ克服!

12月に1/64の量から始めた経口免疫療法。

途中、味に苦戦しながらも、一度もアレルギー症状があらわれることなく順調に量を増やしていくことができました。

そしてついに、卵ひとつ克服しました!

半熟や生はまだ試していませんが。

ちなみに、卵ひとつ克服しても、そこでおしまいではありません。

しばらくは、毎日卵を食べ続けなくてはいけません。(まるまるひとつではなくてもOKですが)

食べるのをやめてしまうと、また体が忘れてしまって、久しぶりに食べたときにアレルギー症状が出てしまうかもしれないからです。

そこで大活躍だったのが、生協の宅配パルシステムの商品「直火炒めチャーハン」でした。

この商品には、炒り卵がたくさん入っているのですが、これなら美味しく食べられる!と息子も喜んでいました。

原材料など詳しくはこちらの記事に書いていますので、よろしければご覧になってくださいね。

食べられることの大切さ・克服の意義

そもそも卵が食べたいわけではないので、まずい卵をいやいやながら食べ続けてひとつ食べられるようになったとしても、本人的にはそんなに嬉しいことではなかったかもしれません。

担当医もそうおっしゃっていました。子どもたちからはなかなか感謝してもらえないんですよね~と(笑)

でも。

つなぎとして卵が入っているハンバーグを食べられたり、卵の入ったアイスクリームが食べられたり、卵がほんの少し入っていたために除去しなければいけなかった給食が食べられたり、実はよいことがたくさん待っていることを大人たちは知っているので、克服させたいと思うのです。

そして、克服できて本当によかったです。

同時進行で、小麦の経口免疫療法もおこなっています。

3月に入院して小麦の負荷試験をおこないました。

こちらはまた別の記事でご報告しますね。

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