【細菌性髄膜炎】赤ちゃんの高熱、ただの風邪じゃなかった…細菌性髄膜炎はワクチンで予防して!

  • 2021年5月22日
  • 2024年3月27日
  • LIFE

息子が、生後9カ月のある日、40度の発熱。突発性発疹を疑われたけれど3日解熱せず。精密検査後、「細菌性髄膜炎」だと判明し、死亡する確率が3割と告げられる…。

2008年7月。まだ肺炎球菌ワクチンやHibワクチンがなかった年のことです。

しかし治療の効果で無事回復。奇跡的に何の後遺症もなく、現在元気な中学生です。

細菌性髄膜炎と闘った息子の症例をご紹介します。

40度超えの発熱

ある日、息子が突然の高熱。
初めての発熱だったのですが、40度超えにとても不安な気持ちでした。

少し咳がでていたので風邪をひいたのだと思い、小児科を受診。
連れて行った小児科の医師からは「もしあとから発疹がでてきたら突発性発疹だから、2日たっても熱が下がらなかったらまた連れてきて」といわれました。
そのときには、まさか命にかかわる病気にかかっているとは思いもしませんでした。

でも、わたしは直感的に突発性発疹ではないと思っていました。ウチは、上の2人も突発性発疹に罹った経験がなかったからです。知らぬ間に罹っていたのかもしれませんが、明らかな症状が出て診断を受けたことがなかったので、この子も違うのではないかと思ったのです。

息子は2日たっても高熱のままで、明らかにぐったりしているように見えました。
怖くなってすぐに小児科へ。
採血して白血球の数値が異常に高かったため、紹介状をもってその足で総合病院へ連れて行きました。

即検査、即入院

総合病院では、検査を始めると同時に、入院の手続き。
医師からの説明があったときの診療経過説明書を見返してみた。

 ・発熱
 ・炎症の値が高い(細菌感染)
 ・ヒューヒュー(喘息のような音)

 ➡気管支か肺に炎症がある疑い
  他の部位に問題がないか詳しく調べる

 ・レントゲン
 ・血液検査
 ・検尿
 ・細菌検査(一週間後に結果)

 ➡抗生物質を点滴でしっかり使う
  ヒューヒューは内服・吸入を行う

これらが最初に受けた検査でした。

そして、次の診療経過説明書には、上記の検査結果と追加の検査項目が記されていました。

 ・血液検査⇒白血球と炎症反応の値が非常に高い(血液中に菌→敗血症)
 ・レントゲン⇒気管支炎あり

➡大至急、追加で
 ◎腹部超音波⇒腎疾患
 ◎髄液⇒脳炎、髄膜炎

診療経過説明書は4枚にわたり、医師からの細かい説明があったことを憶えています。

そして、恐ろしい検査結果を告げられたのです…。

「細菌性髄膜炎」と判明

息子の病気は「細菌性髄膜炎」でした。

追加で大至急、と書かれていた「髄液検査」で判明したのです。

細菌性髄膜炎は、細菌感染により脳や脊髄を包んでいる髄膜に炎症が起こる病気です。

細菌性髄膜炎のこわさを知る

細菌性髄膜炎は、早期に発見することが難しい病気です。初期症状が風邪と似ているため、病気の発見が遅れることも。診断がついたときにはすでに深刻な状態になっていることも少なくありません。

治療も困難で重症化することが多く、発熱してたった1日で命を落としてしまうこともあるそうです。

また、命が助かったとしても、知能や発達の遅れ、聴覚障害などの重い後遺症が残りやすい病気です。

注意すべき症状は?

髄膜炎にかかるきっかけは、ほとんどの場合、一般的な風邪と同じように鼻やのどの粘膜から体内に細菌が入ることです。
免疫力が未熟な子どもは、菌が髄膜まで届いてしまい、髄膜炎を起こしてしまいます。

典型的な症状は、

  • 発熱
  • 嘔吐
  • 首の硬直

といわれていますが、息子の場合は嘔吐も首の硬直もみられませんでした。

ですから、追加で髄液検査をしてくださった医師には、とても感謝しています。

それくらい、早期発見が難しい病気なので、ぐったりする、意識がないなど、いつもと違う!と感じたら、ただちにかかりつけの病院で診てもらうことが大切です。

息子の検査結果

この診療経過説明書に書かれた検査結果をもとに、医師から説明を受けました。
ちょっと読みにくいので、書いてあることをピックアップしますね。(赤ラインの部分に、恐ろしいことが書いてあります…)

 ・髄膜炎には、細菌性(化膿性)とウイルス性の2種類があり、細菌性の方が重篤であること。

 ・髄液検査の結果、髄液細胞数が正常値10以下のところ、1863個だったこと。

 ・迅速検査にて、原因菌は「肺炎球菌」の疑いがあること。

 ・細菌性髄膜炎は重症化すると、30%は死亡、30%は後遺症が残る可能性があること。

 ・治療として、髄膜炎量といわれる大量の抗生物質を2週間投与する。

話を聞いていて、脳に鳥肌が立つような感覚を覚えました。なんか、ぼーっとしてしまいましたが、息子がとても危険な状態にあるということだけはわかりました。

30%死亡…って、ものすごく高い確率ですよね…

ワクチンが普及しているいまとは状況が異なるので、データも変わってきていると思いますが、2008年の当時は、このように説明されました。

そして、治癒したとしても、成長発達のチェックと聴力検査が必要であり、5年後にはまた脳のMRIを受けるのだそうです。

それほど、重い病気だということなのです。

自分の子どもが、こんな重い病気に罹るなんて。

それからは、とにかくそばについていることしかできませんでした。
朝から夜寝つくまで、ほとんど病院で付き添いました。

どんなに重いアレルギーがあってもいい、とにかく、生きてほしい。

ぼーっと、そんなことばかり考えていた気がします。

母親がほぼ一日中家をあけると、家のなかが大変なことになるのは必然。
上の子どもたちもまだ8歳と6歳だったので、たくさん我慢をさせてしまったと思います。
でも、夫も家のことなどたくさん協力してくれました。

家族みんなで闘いました。

快復し、退院

病院のスタッフの方々の治療のおかげで、毎日の血液検査や髄液検査の数値はどんどん正常範囲に近づいていき、みるみる快復していった息子。

点滴による髄膜炎量の抗生物質投与は、最短で二週間と言われていたのですが、きっちり二週間で終わることができました。
その後は、食欲が戻り自宅療養に耐えうる体力が戻るまで数日様子をみて、無事退院することができました。

入院当初、髄膜炎の後遺症で耳が聞こえなくなるかもしれない、発達に遅れが出て、今までできていたことができなくなるかもしれない、と言われました。
でも、呼べば振り向くし、小さな音にも反応している様子。つかまり立ちもそれまで通り問題なくできている。

母から見た息子は、以前と変わりなく思えました。

本当に、驚くほどの回復力でした。

後遺症も残ることなく完治。その後・・・

退院後、あらためて成長発達のチェックと聴力検査を受けました。
幸い、どちらも異常なし。

そして5年後…予定通り、脳のMRIと脳波の検査を受けました。
結果、異常なしであったことから、細菌性髄膜炎は後遺症の有無もふくめてようやく完治のお墨付きをいただきました。

また、入院中は、アレルギーについても指摘を受けました。
退院したら、まずはかなりひどいアトピー性皮膚炎の治療をしましょうと。

細菌性髄膜炎が完治したあと、熱性けいれん、食物アレルギーによるアナフィラキシー、繰り返す重い喘息発作といった、さらなる試練が次々に襲ってくるのです。

中学生になった今も、アレルギーに関しての定期的な通院は続いています。

それでも、部活に勉強に、お習字にピアノ。いろいろなことを一生懸命に頑張る少年に成長しました。

頑張っています!

細菌性髄膜炎を防ぐために

細菌性髄膜炎の予防ワクチンと言えば、「Hibワクチン」と「肺炎球菌ワクチン」。

きちんとワクチンを接種することが、子どもをこわい細菌性髄膜炎から守ることにつながるのです

いまとなってはどちらも定期接種対象のワクチンですが、息子が髄膜炎になったあとに国内で接種が可能になったのです。
ワクチンさえあったなら、息子は細菌性髄膜炎に罹らずにすんだはず。。。あんなつらい経験をすることもなかったのだ。
そして、髄膜炎はまた罹る可能性がある病気です。ワクチンのポスターが小児科の待合室に貼られるようになったころ、まだ任意で高額でしたが、迷わず両方のワクチンを接種しました。

いまは定期接種になって、本当に良かったです。

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